誰がために何をする? VOL.3

 

 

「あまり時間も無いことですし、配役はランダムに決められるくじ引きにしましょう」

 

「ってちょっとまて!ソレはなんかちょっと横暴じゃないか?もし、間違って『ジュリエット』なんて引いたらどうすんだよ!」

 

ヒューゴがそう言うとナディールは

 

「無論、していただきます。たとえソレがどのような役であろうとも…」

 

やたら「どのような」を強調していうナディールにうすら寒いものを感じ

 

(もう、帰りたい…)

 

ヒューゴの思いは…まあ、全員の思いでもあった。

 

 

そんな中。

 

 

まんじりとしていた5人に痺れを切らしたのか

 

ナディールはいつ作ったのか分からない、金ラメの入った棒クジを持ってきた。

 

「さあ、さあ。まずはゲド様からどうぞ」

 

そうして、ずいっと強引にゲドの前に持っていくナディール。

 

先ほどから終始無言を決めていた(単にバカらしくて話す気も無いのかもしれないが)ゲドは、向けられたクジに無造作に手を伸ばした。

 

固ずを飲んでその様子を見る4人。

 

 

ゴクリ…

 

 

皆が息をのみ

 

そして、ゲドがクジに手を伸ばし引いたもの。それは―――…

 

 

『おめでとう!!あなたがジュリエットです』

 

 

あたりに完全な静寂が訪れた…

 

ゲドは其れを無言で眺めると

 

「疾走する雷撃よ…」

 

一声発したゲドの呪文によりソレは見事に粉砕された。

そして、ゲドは皆を見つめて

 

「何か…みたか?」

 

全員が一斉に首を振ったのは言うまでもなかった…

 

 


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