続・笑顔のままでパロディ〜記憶喪失編〜
※
これは笑顔のままでの続編パロディ版です。
天然行き過ぎの琴子や、ちょっと突っ込み系の理美、目立たないじんこがだめな方は速攻ブラウザから戻ることをお勧めします(^^;
Virsion6 琴子side
あたしが記憶喪失になってから、3日がたった。
怪我は順調に治っていってるらしく、退院まであと3日となった。
あたしは、というと別に記憶喪失が治るという気配はまったく見えなかった。かといってあたし自身はこの記憶喪失に関してあまし深刻に感じてはいなかった。
(なんでだろ?普通ドラマとかの記憶喪失ってもっと深刻に見えるんだけどなぁ)
知らぬは本人ばかりなり。本人のいないところであたしの記憶喪失はかなり深刻化していたのだけど、あたしはのんきによろしくやっていた。
コン、コンッ。
「はーい、どうぞっ」
ノックとともにやってきたのは、今のあたしも知る顔だった。
「じんこ!理美!?」
「やっほー、琴子。お見舞いに来たよー!」
じんこがそう言う。
そして、横にいた理美もたずねてきた。
「あんた、あたしたちのことまで忘れてないでしょうね?」
「理美・・・よね?」
「あたりまえじゃない!まさかほんとに忘れちゃったの!?」
「だ、だって、その子供・・・」
べつに、理美の顔をみまちがえたわけじゃなかったけど。
でも、理美の抱えていたものと、あたしの知らない理美の雰囲気が、あたしの知っている理美とは違いすぎたから。
「あぁ、由紀ね。どぉ、かわいいでしょ?あたしの子よ」
「えぇぇぇっ!!?」
こ、こ、子供!?つまり、理美の赤ちゃん!!?
「あ、相手は!?」
「良よ。って、今のあんたじゃわかんないか」
「・・・うん」
「ま、そのうち、うちのだんなも連れてくるわよ」
「って、理美、結婚してるの!?」
「あたりまえでしょ!なんで子供がいるのに、結婚してないって思うのよ!!」
「いや、ドッキリかと・・・」
「なわけないでしょ!!勝手にドッキリで人をシングルマザーにしないでよ!」
「いや、子供もドッキリ・・」
「なお悪いっ!!」
理美はなんだか疲れきった顔でゼーハーと息を切らしながら更に続ける。
「・・・っ、だいたいっ、あんたが結婚してるのにあたしが結婚してない理由も無いでしょ」
あたしはその言葉に反応して理美に飛びつく。
「理美!!」
「うわっ、なにっ。ちょ、ちょっと飛びつかないでよ。あぶないでしょ!」
「それより理美!聞きたいことがあるの!」
「わ、わかったから。お願いだからはなれてーっ」
その理美の悲壮な訴えにあたしはしぶしぶ理美から離れた。
「ふう、で何よ。聞きたいことって」
あたしから開放された理美は、子供を抱えなおすとあたしにそう尋ねてきた。
あたしは、気まずそうに
「その、あたしが結婚したって話なんだけど・・・」
「それが?」
「みんなが、あたしは入江くんと結婚したって言うの」
「そのとおりでしょ」
「どこが!?」
私の、切実な問いに理美は
「は?」
と、情けない声を発しただけだった。
その声を聞き流し、あたしはつづけた。
「だって、入江くん診察のとき以外あたしに会いに来ようともしないし、診察にくる時だって、あたしに話し掛けようともしないし・・・ねえ、もしかして私たちって離婚寸前の夫婦だったとか?」
『それはない』
きっぱりと否定する二人。
「むしろ、ラブラブだったじゃない、あんたたちって」
「ら、ラブラブ!!?」
理美の言葉にあたしは驚く、だって夫婦のラブラブって言えば・・・
『ただいまハニー!』
『お帰りなさいダーリン!きょうもごくろうさまvお風呂になさいます?それともお食事?』
『おまえがいいな、ハニー』
『まぁダーリンったらv』
『うふふふ』
『あははは』
「とか?」
あたしは、あたしの思っているラブラブ夫婦の想像を伝えた。すると
「何世紀前の夫婦よそれは!」
理美が、耳がつぶれんばかりの突っ込みを入れた。
「で、でも、じゃあ私たちがラブラブだったって言うけどどんな風に?」
とても今の入江くんとあたしがラブラブなのは想像できなくて、あたしは理美に聞いた。
が、理美もその疑問にはたじろぎ
「え、と、その。口で言うのは・・・ちょっと・・」
「やっぱり嘘なんだ」
「あ、違うのよ!そうじゃなくて、ただなんていうか入江くん愛情表現の仕方がほかの人とちょっと違うから・・・」
あたしの言葉を理美は慌てて否定するように説明するが、あたしにはそれが言い訳のように聞こえて
「も、いいよ理美」
「琴子?」
あたしの声のトーンが低いことに気づき、じんこと理美がこちらの様子をうかがう。
「だって、あたしも入江くんも結婚指輪つけてないんだもん、誰がどう考えたって、離婚寸前の夫婦だったのよね」
『へ?』理美とじんこの声がハモる。
それから二人は爆笑して
「あんたバカじゃないの。そ、その指輪の話、あたしたち前にあんたに聞いたけど、あんたがはずしたから入江くんも仕方なくはずしたって聞いたわよ」
「へ?あたしが?なんで??」
「知らないわよ、詳しくはあんた話したがらなかったし。そんなに気になるんなら早く記憶戻したら」
理美があたしの疑問には答えず、あっさりとそんなことを言ってきた。
「そ、それができれば苦労はしないわよ!!大体なんであたしが指輪・・・」
あたしは、理美の他人事みたいな言い方に反論しようと叫び返した瞬間―――
『・・・ったく。なくすか普通指輪なんて』
『そんなこといったって・・・』
『見つかったから良かったものの、今度なくしたら俺は知んないからな』
『大丈夫!あたし決めたわっ!!もう二度と指輪をはめなければいいのよ!』
『はぁ?』
『そうすれば絶対なくすことなんか無いものっ』
『・・・ふーん、じゃ、俺もそうしようかな』
『えぇ!?』
『だってなくすと困るんだろ?』
『そうだけど・・・、でもっ』
『じゃあ決まりな』
―――これは何?こんなのあたし知らない・・・これってもしかして・・・
「・・・子。琴子!!」
その声に驚いてあたしはわれに帰った。
「っえ、あ、なに?」
「なに、じゃ無いわよ。突然固まっちゃってビックリしたわよ」
「ごめん、あたしなんだか疲れちゃったみたい、もう休むね」
「・・・わかった。また来るわね」
「うん、ありがと。じんこ、理美、またね」
そういって、あたしは理美たちと別れた。
あたしはベッドにもぐりこみさっき見たものを、もう一度思い出す。
(あれはもしかしてあたしの記憶―――?)
なんだかドキドキした。急に入江くんとあたしが身近なものに感じられた。
でも・・・
(仕方なくはずした?)
理美から聞いた入江くんの指輪の話しと、あたしの記憶とが微妙に違うのはなぜ??
まさか、あたし本人が脚色して理美たちに言ってるなんて、思うわけも無かったあたしは
(ま、いいか)
と、そのままベッドで眠りについたのであった。