続・笑顔のままでパロディ〜記憶喪失編〜

 

※これは笑顔のままでの続編パロディ版です。ちょっと和歌山弁くさい金ちゃん(なにせ大阪と和歌山って微妙な位置なもんで方言の違いが分からない)やしゃべりのおかしい入江くん、天然行き過ぎの琴子がだめな方は速攻ブラウザから戻ることをお勧めします(^^;

 

Version 3 琴子side

 

この人、いまなんていったの?

あたしは思わず自分の耳をうたがった。

「あたしが入江くんの奥さん!?」

「そう」

「26!?」

「そう。なんなら鏡見る?」

そういってお医者さん・・・じゃなくて入江くんが手鏡を渡してくれた。

そして、その鏡に映っている人物はやっぱりというか自分が想像していた容姿とは違ってはいたけど別人ほど違わない自分の姿が映し出されていた。

「あ…たし?」

鏡に映る姿は入江くんが言った年齢くらいに成長したあたしの姿が映っていた。

「うそ…、本当に?じゃあここって9年後の未来なの!?あたしってばタイムスリップしちゃったのね!!」

「ちがう!」

「じゃあ、千と千尋の神隠し!?」

「意味わかんねーよ!」

「じゃ、じゃあ・・・」

「もういい、何もしゃべるな。お前は記憶喪失なんだよ」

「き、おくそーしつ?」

「そう。やっと理解してくれた?」

「え、でも。あたしちゃんと記憶あるよ」

「お前の場合は喪失、と言うより退行だな。記憶退行。車に轢かれたショックで一時的に記憶が逆戻りしたんだ」

「で、でもっあたしばっちり記憶あるのに…昨日のことだって覚えてる・・それに明日は・・・」

あたしは、あたしが覚えている明日の予定を言おうとして思わずどもる。

そう、明日は入江くんにラブレターをわたすつもりだったのだ。

目の前にいる彼に。

「明日がどうかしたのかよ」

そんなあたしの思いをつゆ知らず。

すっかりかっこいい大人になった入江直樹くんがあたしに尋ねる。

「あ、あしたはその・・・あたし入江くんにラブレター渡そうとおもってるのよ。ちゃんと覚えてるもの」

あたしのその言葉を聞いた彼は眉根をよせ「そのころの琴子か」とつぶやくと

「『はじめまして入江くん。わたしはF組の相原琴子といいます。・・・・・・・』」

!?それはあたしのラブレターの内容!!

「な、なんでっ!?」あたしが叫ぶと彼はあたしの書いたラブレターの朗読をやめ

「俺が『入江直樹』だから。これで分かっただろ、今お前は記憶喪失だってこと」

「う、うん」まだちょっと信じられないけど。

少なくとも彼は本物の入江直樹でいまのあたしは26歳だっていうのは疑いようもなかった。

…でも、そういえばここってそれから9年経ってんのよね。

なのに入江くん、あたしのラブレターの内容一字一句覚えてるなんて…

さすがIQ200の天才。(そうくるか)

あれっ?ということは

「つまり入江くんがそのラブレターを受け取ってめでたくあたし達は両思いになったのね!!」あたしはそう、両目を輝かせて尋ねると

「・・・・・・・・・・・・」

入江くんはなぜかあたしから目をそらし黙り込んでしまった。

そしてしばらく考え込んでから

「結論から言えばそうなんだけど…、なんかそれを認めるのはすごい嫌な感じが…」

「?」あたしは彼の言っていることがわからなくて首をかしげた

「いや、話すとすごく長くなるし、ややこしいからやめとく。とりあえずお前は記憶喪失だってことだけ自覚してればいいから」

「琴子。やっぱりまだ思い出さんか」

さっきから黙ってあたしたちのやり取りを聞いていたお父さんが尋ねてきた。

あたしは申し訳なさそうに

「うん、なんにも」と、言うしかなかった。

9年先のお父さん。…やっぱり老けたなぁ。

そんなことをしみじみ思っているとドアをノックする音が聞こえた「どうぞ」と入江くんが促すと

「ちょっとぉ琴子あんた車に轢かれたんですってぇ!」

な、なに?男の声なのにこの人なんで女言葉なの!?

「お、オカマ・・・?」

あたしはおそるおそるその言葉をつぶやくと同時に

「琴子あんた大丈夫!?」

と、今度はいけいけの女の人といかにもな白衣の天使みたいな看護婦さんそれに長髪の男の看護婦さんも入ってきた。

「な、なに??この人たち…一体だれ?」

わけが分からなくて混乱している中「ばんっ」と荒くドアを開け、またしても一人誰かが入ってきた。

今度はだれよぅ。と半泣き状態でその人をみると

「琴子っ!怪我したっちゅ―のは本当か!?大丈夫なんか!?」

そういってあたしに駆け寄ってきたのは…

全部が変わってしまったなか。唯一変わっていない金ちゃんの姿だった。

「金ちゃん!!」

ひしっ

あたしはあまりのうれしさに感極まり、かけよった金ちゃんに体の痛みも忘れて抱きついた。

「こ、琴子!?」

金ちゃんは真っ赤になって狼狽していた。

なぜか、周りの空気が凍った気もしたけどそんなのは気にならなかった。

9年後の金ちゃんがあんまり変わってなかったのでうれしかったんだもん。

―――なんて浸ってられたのもつかの間であたしはすぐに金ちゃんからやんわりと引き剥がされた。

そしてあたしはそのままベッドに寝かされてしまった。

「起きるなっていっただろ。ちゃんと寝てろ」

そういって、あたしを引き剥がしたのは入江くんだった。

入江くんはあたしをちゃんとベッドに寝かせると、今度は金ちゃんの方を向き

「金之助、それからみんな。一応ここは病院なんだからもうちょっと静かにしろ。あとそれから桔梗、琴子の診察をするからちょっと残っててくれ後はみんな出てくれるか」

「わかった」と言って、なぜかそういわれた金ちゃんは病人のあたしよりも青い顔をして出て行った。

他の人たちも同様に冷や汗みたいなものをかいていたみたい。

 

一体どうしたって言うの?

 

そして、さらに残った桔梗さんと言う男の人はあたしの横でポソリと「こ、怖かったわぁ」とつぶやいた。

 

・・・・・・。

だからなんなのよ一体!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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