第一話〜事の始まり〜
それは、二人が結婚してはじめての春休み。
「えー…。なんと言えばいいのか、諸君らも何度か会った事があるだろうが…、またしても、今年の春アルバイトする事になった…」
「『相原琴子』です。よろしくおねがいしまーす!!」
上司の言葉に、その場にいたパンダイの社員は一時騒然となった――
1.
カタカタ…
社長室では、パソコンを打つ音が淡々と流れる。
そこには、書類に目を通し、判を押す入江パパと、データ整理をする、入江がいた。
そんな時…。
(わー、相原さん、シュレッダーにかけるのはそれじゃないっ)
(えぇっ、す、すみませーんっ)
「「・・・・・・」」
誰の声か分かってる二人は、あえて沈黙する。そして
「おやじ…、なんで琴子なんか、また雇うんだよ」
「わしが、琴子ちゃんに逆らえると思うか?第一、直樹だって反対しなかったんだろ?」
「…いったけど、無駄だったんだよ」
そう言うと
やはりお互い沈黙するしかなかったのである。
2.
それは、約1週間前。
「直樹…」
入江パパが、入江たちの部屋をノックして入ってくる。
どことなく申し訳そうに入ってくる入江パパに、入江と琴子は不思議な顔をし
「どうしたんだよ、親父」
「どうしたんですか、お義父さん」
と尋ねると。
「実はな…」
そう言って、入江パパはおずおずと話し出した…
「…と言うわけで、直樹に春休みの2週間だけでいいから、会社の方を手伝って欲しいんだが…」
そう言って、入江の顔をうかがい見る入江パパに、入江はため息をつき
「いいですよ、それくらい。できるだけ手伝うって約束しましたしね」
そう言った。すると、入江パパは
「そっ、そうか直樹っ!!いやー助かるよー!!」
嬉しそうにはしゃぐ。と―――
「あ、あたしもまた、一緒に働いてもいいですか」
「「えっ」」
思わず、入江と入江パパの声が重なる。
「ね、いいですよね、お義父さん」
そう言って、入江パパに尋ねる琴子。
以前のことで、自分でも部下の報告からもいやと言うほど琴子のドジを知っていた入江パパだったが、今は入江が来てくれると聞いたばかりで浮かれてた事もあり。
「ああ…」
と、つい言ってしまう。
「おいっ、親父っ!!」
「まあまあ直樹、いいじゃないか。じゃ、琴子ちゃんと直樹には来週からということで、すまなかったね、じゃあ」
…と言って、入江パパはそそくさと逃げるように去っていった。
後に残された、入江と琴子は…
「…なんで、お前まで来るんだよ」
「あら、いーじゃない。あたしだって、入江くんと同じところでお仕事したいんだから」
「…たのむから、なにもするなよな」
「む、なによそれっ、失礼ね。…あ、そうだ」
と、膨れていた顔を一転させた琴子は
「それでお願いなんだけど」
「…なに?」
これ以上、まだなにか。そう言う目で見る入江
「じつは…、あたしパンダイで、『相原』のままじゃだめかな?」
そんなことをいう琴子に、思いっきり、不信の目をむけ
「何で?」と入江が聞くと。
「えーと、とくに深い意味はないんだけど、ほらっ、突然姓が変わったら、みんな不思議だとおもうし、…ね」
じつは、入江くんフリークのOL集団の攻撃を受けたくなかっただけなのだが、入江にはごまかす琴子。
「………」
憮然とするが、何も言わない入江。
それを、納得の返事と思った琴子は
「来週から、一緒にがんばろうね、入江くん」
そう言うのだった。
始め書き
相当、見切り発車で書き始めた【オフィスラブ】ですが、最後までお付き合いくださると嬉しいです(^^)
ちなみに今現在、2話未完成…
ど、どうするねん!(笑)
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04/06/06